個人のリスキリング

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【動画】今日から変わる!リスキリングのポイント(株式会社グロービス 鳥潟幸志氏)

2025/03/25

話し手:鳥潟幸志(株式会社グロービス マネージングディレクター)

個人がリスキリングに取り組むためのアドバイス

「DX」という考え方が当たり前のように求められるこの時代において、急速に変化する職場環境に対応する力を身に着け、自分らしく働き続けるために「リスキリング」は効果的な手法です。個人においてスキルをアップデートするためにまずどのようなところから取り組んだらよいか、そしてどのようにスキルを生かしていくとよいかなど、リスキリングの基本的なポイントをご紹介します。

リスキリングの定義

基本的に「リスキリング」というのは、新しい職業や新しい役割に就くために必要なスキルを身につけるということ。変化を前提として何かを学ぶということと考えられます。

今、なぜリスキリングが必要なのか

リスキリングが求められる背景として、「社会外部環境の変化」「労使関係の変化」「内的な変化」と3つの変化が挙げられます。
社会外部環境の変化は、これまで一つの職業というのは大体3世代ぐらいかけて大きく入れ替わっていたと言われていたところ、昨今のテクノロジーの進化などを含めて一世代で3回ぐらい職業が変わっているという社会観になってきていますので、必然的に変化を前提とした学習が必要と考えられます。

労使関係については、これまで日本では一度会社に勤めると定年までずっと勤めるという関係性があったところ、今は転職も当たり前になってきており、会社に全てを任せるのではなくて自分でしっかりと決めて学んで変化をする必要があるということです。

内的な変化については、「お金のために働く」とか「いいポジションに就くために働く」という考え方よりも、時代の感覚として「より自分がやりたいことにしっかりと向き合えているか、より社会の価値につながることに向き合えているか」といった価値観が求められてきています。
これを実現するためには、必要なスキルを自分で身につけて自らキャリアを掴み取っていく必要があります。

どんなスキルを身に着けたらよいか

どういうキャリアを描きたいかや、どんな仕事に就きたいかなど、その人の目的によって学ぶ内容は変わってきます。その一方で、少し俯瞰して見たときに学ぶとよい分野が2つほどあります。
まず一つは大きなトレンドとしての「テクノロジー」や「デジタル」という領域です。
このときに、プログラミングやセキュリティなど、いきなり特定の領域を深く学ぶというよりも、まずは俯瞰してデジタル・テクノロジーを知識としてインプットすることをお勧めしています。ここで参考になるのが、経済産業省から出ている「デジタルスキル標準」というガイドラインです。
もう一つは、ビジネスの基本的な基礎力と言われる分野になります。
例えば、論理的思考力とかコミュニケーション力、社内で自分の意見を通すためのプレゼンテーション力やファシリテーション力や会計など。目の前の仕事と距離が遠いように感じるかもしれないものも、
身につけておくことで結果としてデジタルのスキルを生かすことができることに繋がっていくと考えられます。

具体的にどのようにスキルを身に着けたらよいか

一番重要なのは「自分がなぜ学ぶのか」という目的を明らかにすることです。
長期の目的がすぐ思いつかないのであれば、目の前の仕事のこの領域をもっと効率化したいとか、この仕事がうまくいくように、といったことでもよい。少なくとも、学ぶ前にまず目的をしっかりと定めるということが重要なポイントになります。
その上で、今のスキルと、理想とする状態のギャップを明らかにして、その差を埋めるためにどういった知識が必要か、どういう経験が必要かということをまずしっかりと洗い出すこと。
そこから具体的な学習を始めるというのが基本的なガイドラインと考えます。

例えばデジタル・テクノロジーを「俯瞰して学ぶ」場合、最近注目されている「ITパスポート」という国で定めた試験、資格に挑戦するのもお勧めです。最低限必要な「俯瞰したデジタルの領域」をまず押さえることができます。
ビジネスの基礎力を「俯瞰的に学ぶ」というテーマに関しては、いきなり何か専門書を手に取るとかいきなり一つのテーマだけのセミナーに行くというよりも、ビジネス基礎力全体を学べる入門書のようなものを手に取ってみて、そもそもビジネス全体がどうなっているのかといったことをまず頭の中にインプットしてから、個別を学んでいく。まずこんなやり方がいいのではないでしょうか。

また、一人で学ぶよりも、可能ならラーニングコミュニティに加入したり、外部のいろいろなセミナーに行って同じようなマインドを持っている方とつながってみるなど、学ぶ仲間をつくるというのもよいと思います。

習得したスキルを発揮するためには

自分のキャリアを変えてみるとか、転職してみるというのも有効な選択肢かもしれないですが、いきなりそういう大きな判断をする前にまずはできるところからやっていく。これを一番お勧めしたいです。例えば、上司にプレゼンをするのが苦手だという方が、プレゼンテーションのやり方、フレームワークを学んでみたらうまくいった。当たり前のようにやっていた業務オペレーションのプロセスも、ITを学んだことでとあるプログラムを入れて効率化できないかと考えるようになった。
このように小さな変化を起こすことによって、自分が学んで変われるんだと実感できる。それがセルフモチベーションにもつながり、どんどん学びが加速していきます。
そして少し自信がついてきたら、会社の新しいプロジェクトに手を挙げてみたり、今まで接点がなかった他署の方と一緒にプロジェクトを組めないかとを相談してみるなど、チャレンジしてみる。
そういったことを続けていくと、自分のスキルがどこで生かせるかや、逆に何が足りないのかということにも気づくことができ、また学習のサイクルがいい感じに回ってきます。

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