リスキリングとは

リスキリングとは

リスキリングとは、新しい職業に就くために、あるいは、今の職業で必要とされるスキルの大幅な変化に適応するために、必要なスキルを獲得する/させるということです。
例えば、業務のDX化を推進するために、IT系スキルを労働者に学ばせることなどが考えられます。
リスキリングを行うことによって、社内での円滑な労働移動が可能となります。

リスキリングの必要性

デジタル化や脱炭素化の進展により、産業構造の急速な変革が見込まれるなか、企業の持続的な発展のためには、成長産業・分野で求められるスキルの習得が必要です。
また、経済産業省の労働需要に関する推計によると、将来エンジニアの需要は増えるが、事務・販売員の需要は減少するとされており、需要が減少する分野の技術的失業を防ぎ、円滑な労働移動を促進するためにリスキリングが必要となります。

リスキリング事例

株式会社あけぼの印刷社

実施したリスキリングの内容を教えてください。

茨城県の助成金を活用して社内のクリエイティブディレクター1名にオンライン講座を受講してもらいました。クリエイティブ能力向上を目的とする教育プログラムで、グラフィックデザインやコストマネジメントなど多岐に渡る内容でした。

実施したきっかけを教えてください。

当社は社員の学びを後押しする社風があり、これまでも社員の外部講習には積極的に参加するよう日頃から声を掛けていました。その中で1名の社員から受講したいと打診があったことが今回のきっかけです。県から補助支援もしていただけるのでGOサインを出しました。

リスキリング前後で仕事がどのように変わりましたか。

受講後に本人から「習得したスキルを生かしたい」という希望があり、クリエイティブ職から営業職へ異動しました。当社としても新たなニーズや未開拓分野の商品が増える一方で、営業スタッフの不足が課題だったので良いマッチングが生まれたと感じています。他にも受講から営業職に異動した社員が出て来ており、社内でリスキリングの機運が高まっています。

これからリスキリングに取り組もうとする方に一言お願いします。

現在の事業を再構築し、社員とともに長期的に事業展開する上で学び直し(リスキリング)は必要不可欠なものだと感じています。一人ひとりが学びの機会を得るためには経営側の人的投資が欠かせません。まずは経営者がリスキリングの重要性を理解することが第一歩です。

AT&T

リスキリングのきっかけと内容

リスキリングの先進的な事例として、AT&Tの事例を紹介します。同社は、「25万人の従業人のうち、未来の事業に必要なスキルを持つ人は半数程度」という分析結果より「ワークフォース2020」というリスキリングプログラムをスタートし、2013年から2020年にかけて、従業員10万人を対象に、10億ドルのリスキリング事業を以下のとおり実施しました。

①報酬体系の整備
企業が必要とするスキルを明示し、それを保有するものやリスキリングプログラムで優秀な成績を収めた者に報いる報酬体系を整備しました。

②キャリア開発支援
キャリア支援ツールを提供し、従業員が社内の就業機会を検索し、その部門の今後の見通しや賃金の範囲などの情報を入手し、そのポストに就くために自分に必要なスキルを知ることができるようにしました。

③オンラインの訓練コースの開発と提供
外部の教育プラットフォームと連携し、WEB開発やデータ分析、プログラミングを学ぶことができるコースを提供するほか、大学と連携し、データサイエンスやサイバーセキュリティなどの学位プログラムを提供しました。

④自身のスキル取得状況の可視化、学習状況管理
従業員は自分のスキルを評価できるだけでなく、それに基づいて社内で就業可能な仕事を検索し、それに就くために必要な訓練コースを見つけ、講座予約等を行える学習状況管理システムを提供しました。

リスキリング後の変化

社内技術職の80%以上が社内移動によって充足させ、リスキリングプログラムに参加
した従業員は、そうでない従業員に比べ、1.1倍高い評価、1.3倍多い表彰、1.7倍の昇進を
実現し、離職率は1.6倍低下するという成果を上げました。

県内のリスキリング事例

茨城県の取り組み

茨城県リスキリング推進政策パッケージの策定

 情報通信技術や脱炭素化の急速な進展により、あらゆる産業にAIやデジタル化、脱炭素化の波が押し寄せています。

 一方、少子高齢化により働く世代の人口が急激に減少し、様々な業種で慢性的な人手不足が発生しており、企業の持続的発展への影響が懸念される状況も生まれています。

 そのような状況の中で、今後、限られた人員で企業がその価値を向上させ、さらなる発展を継続していくためには、企業の外から必要な人材を確保する取り組みに加え、現在いる社員の方が、「リスキリング」によって、デジタルスキルをはじめとした

 企業で必要となる新たなスキルを習得し、そのスキルを活用して業務効率化や新たなビジネスモデルの立ち上げなどを実現することで、生産性の向上や賃金水準の向上につなげていくことがますます重要になってきています。

 そのため県では、「リスキリング」についての理解と意識を高め、企業が自ら進んでリスキリングに取り組んでいただけるよう、リスキリングの機運醸成と、具体的なスキル習得を支援することとし、それらのための施策を、「茨城県リスキリング推進政策パッケージ」として公表しました。

「茨城県リスキリング推進政策パッケージ」で推進する施策

①意識啓発・機運醸成のための施策②スキル習得を支援する施策
○リスキリング推進宣言制度の創設
○先進企業の顕彰、取組内容の普及啓発
○ワークショップ・シンポジウムの開催
○ポータルサイトによる情報発信
○成長産業・分野で求められるスキルの見える化
○県認定リスキリング講座の設置
○AIマッチングシステム(リスキリング講座提案システム)の開発・運用

茨城県リスキリングマニュアルの策定(企業向け)

 リスキリングを初めて行う場合でも、円滑に取り組みを進めていただけるよう、「参考書」として活用いただけるマニュアルを整備しました。 リスキリングに対するよくある疑問や思い違いについても、「コラム」で解説しています。本マニュアルに沿って進めていただくことで、理解を深めながらリスキリングを実施していくことができます。ぜひ、ご一読ください。

【詳しくはこちらをご覧ください】

茨城県リスキリング協議会

茨城県ではリスキリングに関する施策を検討するために3つの会議を設置しています。
会議には行政、産業界、教育機関から代表者が出席します。

①リスキリング推進協議会会長である知事のもと、県のリスキリング施策の方針を検討します。
②リスキリング推進協議会 幹事会協議会の結果をもとに実務的な協議をします。
③IT人材ワーキング会議今後必要となるITスキルについて議論します。

検討状況

(1) リスキリング推進協議会
①第1回リスキリング推進協議会
 ○開催日 令和5年1月30日(月)
 ○議 題 ・将来の成長産業、分野で必要となるスキルの可視化
      ・リスキリングに意欲的な企業人を後押しする仕組みづくり
      ・県全体でリスキリングを推進するための環境整備

②第2回リスキリング推進協議会
 ○開催日 令和5年10月4日(水)
 ○議 題 ・IT人材ワーキング会議報告書について
      ・茨城県リスキリング推進政策パッケージについて
県HPへのリンク
https://www.pref.ibaraki.jp/soshiki/shokorodo/sanjin/reskilling_council.html

(2)リスキリング推進協議会 幹事会
①第1回リスキリング推進協議会 幹事会
 ○開催日 令和5年4月25日(火)
 ○議 題 ・協議会の議論を踏まえた施策の方向性
      ・IT人材ワーキング会議での議論の共有
      ・各団体で取り組むリスキリング施策

②第2回リスキリング推進協議会 幹事会
 ○開催日 令和5年8月8日(水)
 ○議 題 ・リスキリング施策案について

(3)IT人材ワーキング会議
①第1回IT人材ワーキング会議
 ○開催日 令和5年2月28日(火)
 ○議 題 ・国のデジタルスキル標準
      ・県内企業のデジタル化の現状と課題
      ・企業人に必要なデジタルスキル

②第2回IT人材ワーキング会議
 ○開催日 令和5年5月26日(金)
 ○議 題 ・企業人に必要なデジタルスキル

③第3回IT人材ワーキング会議
 ○開催日 令和5年7月12日(水)
 ○議 題 ・デジタルリテラシーの習得方法について
      ・IT人材ワーキング会議報告書案について

④第4回IT人材ワーキング会議
 ○開催日 令和5年9月6日(水)
 ○議 題 ・IT人材ワーキング会議報告書案について

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