2023年度リスキリング推進シンポジウム1日レポート

2023年度リスキリング推進シンポジウム1日レポート

令和6年2月7日(火)に茨城県庁9階講堂にてリスキリング推進シンポジウムが開催されました。当日は茨城県内のリスキリング推進に関する表彰企業の取組みや、今後求められる企業の学び直しへの取組みを紹介。基調講演では「一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ」代表理事の後藤宗明氏が講師となり、中小企業におけるリスキリング実践についてお話しいただきました。そんな当日の模様をご紹介します。

第一部
全国初の自治体によるリスキリングに取り組む企業の表彰

リスキリング推進シンポジウムとは、リスキリングの先進企業表彰や、有識者の基調講演、パネルディスカッションを通じて、リスキリングの重要性やその取組み方について理解を深めていただくために開催の国内初の県が主催となってリスキリングに取組む企業を表彰するシンポジウム。その中でも、自治体によるリスキリングに取組む企業の表彰は国内初の取組みとなりました。2部制である同シンポジウムの前半では茨城県内のリスキリング推進を行う企業を表彰し、これから求められる企業の学び直しへの取組みを紹介。後半の基調講演では日本におけるリスキリングの第一人者である、一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ代表理事後藤宗明氏を講師に迎え、中小企業におけるリスキリング実践についてお話しいただきました。

当日は開始定刻となり、司会の挨拶とともに幕を開けたシンポジウム。まず主催者を代表して大井川和彦知事の挨拶からスタート。茨城県が持続的な発展を遂げるためには、中小企業へのあらゆるサポートが戦略的かつ体系的に政策展開を図っていくことが不可欠、と話す大井川知事。「特に人材政策は今後の経済活動の趨勢を左右する鍵。デジタルスキルを中心にリスキリングを推進し、生産性や賃金水準の向上の実現を図ることが極めて重要」と力強く言葉を投げかけました。

県認定リスキリング講座やAIマッチングシステム導入など今後の施策にも言及した大井川知事

続くのはリスキリング推進企業の表彰式。社員のリスクキリング推進や、スキルを習得した社員の処遇向上を図るなど先進的な取組みを行う各社が選出され、壇上で表彰されました。

ベストプラクティス賞には関東道路株式会社と株式会社ヒバラコーポ―レーションの2社、グッドプラクティス賞は株式会社あけぼの印刷社、株式会社サシノベルテ、トモエ乳業株式会社の3社が受賞。表彰後には選考委員長である一般社団法人ジャパン・リスキリング・リスクイニシアチブ代表理事の後藤宗明氏より5社の講評が述べられました。

表彰状を受け取る関東道路株式会社代表取締役の武藤正浩氏
株式会社ヒバラコーポレーション代表取締役社長の小田倉久視氏が表彰状を受け取った

■ベストプラクティス賞 講評内容

関東道路株式会社

ヨーロッパでは “グリーントランスフォーメーション”や“グリーンリスキリング” という脱炭素化に向けたリスキリングが先進的に取り組まれているが、日本ではまだまだ非常に少ない。(関東道路株式会社が)その先進的なロールモデルの事例になるのではないかなと思う。さらに業務時間内にリスキリングの推進をしたり、資格試験の受講料などの費用も負担。

また、協力企業向けにもスキル習得の機会を提供しているのが非常に素晴らしい取り組み。スキル習得をした従業員に対して評価や処遇に反映していることも、全般的にリスキリングが進んでいるという点で評価した。

株式会社ヒバラコーポレーション

工業塗装という分野にデジタルとグリーン分野のスキルを反映した中で、海外でも新しいエッジAIという、AIの中でも先進的なセンサーを使った取組みをしている。アジャイル開発をする上で、大学を巻き込みながら業務時間内に従業員のリスキリングの時間を確保。産業ロボットの導入に向けた講習を受ける機会の提供や、資格取得に関する費用支援も行っている。また、人事制度の改革、塗装部門のスタッフがリスキリングを通じて配置転換を行うといった全社で取り組む素晴らしい事例。

今後加速する人材不足の時代に対して、早くからデジタル化を通じて業務の標準化を進めている。自社によるDXの成功モデルを他社にも提供するというのは、海外でも非常に先進的な企業が行う取組みだが、同社はもう既に開始している。

「今日は日本のリスキリングの歴史の中で記念すべき日。自治体でリスキリングに取り組む企業を表彰するのは全国初の取り組み」と語る後藤氏
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