第二部
基調講演「リスキリング推進の必要性」
第二部では「一般社団法人ジャパン・リスキリング・イニシアチブ」代表理事の後藤宗明氏が講師となり、リスキリングの必要性を中心に多面的にリスキリングについて紹介しました。
なぜ今リスキリングが重要なのか
まず、海外でリスキリングが定着している背景として重要となるのが「技術的失業」という言葉。AIやロボットによって自動化が進み、人間の労働力に代替されて失業してしまう。海外ではこの技術的失業の解決策としてリスキリングが注目されてきた経緯がある、と後藤氏は話しました。
世界経済フォーラムが発表した最新の雇用予測レポートでは今後5年間で1,400万件の雇用が純減すると予測。また、これまで雇用消失件数よりも雇用創出件数の方が多かったのが、2023年5月では雇用消失件数が創出を上回ったのだそう。遂に雇用総数が減少する時代に突入するかもしれないと後藤氏は会場に呼びかけました。
次に成長著しい職種と縮小している職種を会場のビジョンに映し出し、成長著しい職種のトップはAI及び機械学習のスペシャリストだと紹介。一方、縮小している10の職種に共通するのは正確性を必要とされている作業を中心とした仕事であり、今後はチャットGPTなどのAIを活用して省力化が進む。まさにこうした仕事が変質していく中に、成長分野の要素を取り入れるために、リスキリングが必要であると語ります。
日本における自動化と技術的失業の可能性
日本での技術的失業の実態については、国内コンビニエンスストアでのロボット導入事例や、携帯販売会社の新たなサービスやオンライン接客などによる大規模な店舗閉鎖の事例を挙げます。
さらにChatGPT(生成AI)において、ホテルの予約サービスをはじめとした幾つかのプラグイン機能(ChatGPTの追加機能)、他のAIサービスを例に取りながら、AIによる技術的失業が今まさに起こり始めている実態について触れました。
「ホワイトカラーの知識労働者ほど、生成AIの影響を受けやすく、懸念されていた技術的失業が現実のものとなってきている。技術的失業の対象者がリスキリングを通じて成長分野へ移っていくという労働移動が重要」と語りました。