第三部
パネルディスカッション
最後の第三部では、後藤氏がファシリテーター、関東道路株式会社代表取締役の武藤氏と株式会社ヒバラコーポレーション代表取締役社長の小田倉氏の2名がパネリストとして、パネルディスカッションを実施。後藤氏のリードによって、パネリストのお二人から具体的な取り組み内容や考え方をお聞きすることができ、参加企業の皆様にとって、等身大の事例を学ぶ有意義な機会となりました。
リスキリングに取り組んだきっかけ
武藤氏「元々は一般の建設業、特に舗装と土木を中心とした会社でしたが、環境というものを捉えた方が未来は明るいだろうと、2003年にリサイクルを中心とした環境ビジネスを開始しました。そのためには人材育成が大事だろうというのが1番のきっかけ。そして全く新たなプラットフォーム事業をやる上で、リスキリングせざるを得ませんでした」
小田倉氏「30年前当時、塗装業は年を追うごとに毎年値段の交渉があり、加工賃が下がる状況でした。さらに利益率が上がらない、人材不足という課題も。そこでデジタルをどう生かしていけるかと。新分野への準備として、より軸を形成しようということで(リスキリングの)必要性を感じました」
リスキリングが必要な事業を始めた理由
武藤氏「大量のソーラーパネルが廃棄される時代が来るという危機意識があった。そんな中でプラットフォームというDXを作らないと、絶対に人材不足の中ではビジネスを組み立ててできないだろうと。そして地域社会の環境保全と改善にどう結びつけるかということを考えた時に、環境DXという言葉を造語として作りました」
小田倉氏「私が今の会社に入社した頃、工業塗装系の教育文献もなく、背中を見て覚えるという一辺倒な技術教育だった。そこで品質に関する分析を行ったところ、数値化できることに気付いたんです。その後に弟子たちがデジタル化を推し進めました」
スキルギャップへの対応
小田倉氏「デジタル化は経営面を含むバックオフィス、そしてシステムを担う技術者、あとは現場の方々の3本に分けて学んでもらいました。やはりギャップは何回も出て、ロボット導入の失敗があったり、退職する人も。そこでカリキュラムを定めて学ぶ手順が必要だと思い、リスキリングのカリキュラムを定めました」
武藤氏「新たなことにチャレンジするというのはスキルギャップというよりも学びです。企業理念にもあるように、私たちは地球地域環境の保全と改善を通じて社会に貢献するということを踏まえて進めてきました。良い結果も悪い結果も一つの成果物と捉えるので、スキルギャップという言葉は私の中では馴染まないかもしれません」