2023年度リスキリング推進シンポジウム1日レポート

リスキリングとは

リスキリングとは、デジタルトランスフォーメーション(DX)などといった組織の新しい事業戦略に基づいた企業の人材育成だと後藤氏は言います。個人の学び直しではなく、組織が実施責任を持つ業務である。一方、個人の視点でリスキリングを捉えると、「新しいことを学び、新しいスキルを身に付け実践し、新しい業務に就くこと」である。仕事を通じて新しく身に付けたスキルとして実践していくことが重要となる。

海外のビジネスレビューを参照にしながら、個人のリスキリングに企業が責任を負うこと、本人の望むキャリアと企業からのリスキリングする機会提供のマッチング、官民連携の仕組みづくりなどのリスキリングに関するポイントをピックアップしました。

また、リスキリングと、リカレント教育やスキルアップとの違いに触れながら、リスキリングは新たな仕事あるいは成長分野への準備プロセスでもあることを説明しました。

日本におけるリスキリングの課題と先進事例、今後のリスキリングについて

次に日本のリスキリングの課題を、リスキリングのプロセスにおける「マインドセット」、「学習」、「スキル」、「職業」の4つの段階に分けて紹介。自主性とやる気任せの現状(マインドセット)や学習時間の確保(学習)、実践機会のなさ(スキル)や、配置転換や処遇への反映(職業)など、多くのリアルな課題を挙げました。

国内企業のリスキリング事例を幾つか見せながら、DXとリスキリングの成功に導く秘訣を提言しました。経営者自らが学び、デジタルリテラシー向上に対して積極的に取組む姿勢が大事。また、代表者自らがリスキリングの推進責任者に関わり、人事部任せにしないことが重要だとも言います。

そしてアメリカの企業のキャリアアップ例を出しながら、リスキリングを重ねた事で昇給が実現したケースも紹介しました。

2024年、リスキリングはグローバルかつデジタルの時代になるだろうと後藤氏は予想します。日本の素晴らしい製品やサービスをまだ知られていない国外に伝え、輸出の増強に繋げられるような人材をリスキリングで戦略的に育てる点において、企業経営者や従業員、行政職員のリスキリングが必要になってくるのではと参加者に訴えかけました。

最後に、リスキリング導入に係る公的支援策の紹介として、厚生労働省の人材開発支援助成金制度や県の「いばらきリスキリングプロジェクト」による支援策や取り組みなどを紹介し、企業への積極的な活用を呼びかけて、基調講演を締めくくりました。

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