GX分野へ進出を図る老舗建設企業
環境ソリューション事業に事業拡大へ
関東道路株式会社 (茨城県筑西市 )
企業がリスキリングを進めるヒントの一つは現事業からの事業拡大にあり、という声が各所で聞こえています。
今回紹介するのは、事業拡大によるリスキリングを体現する筑西市 の関東道路株式会社です。
同社は1972年に創業以来、地元筑西市 を中心とした近隣地域で建設業を営んできました。
そんな老舗企業が2023年春に新事業「SRP(ソーラーパネルリサイクルプラットフォーム)」をローンチし、新たな環境ソリューション分野へ進出。
経営者自ら陣頭に立ってリスキリングの戦略計画も策定し、会社全体のスキル習得を推進しています。
国内の業界に先立つ環境ソリューション事業「SRP」やリスキリングに励む現場の声、さらには経営者の思いを伺いました。
業界に先駆けて着手したDX
アプリ導入で円滑な業務フローを構築
日本国内で機運が高まるDX化の波。建設業界でも徐々にAIやIoTのデジタル技術を活用した生産効率化が各地の現場で推し進められています。
中でもいち早くDXに着手した企業が、筑西市 を拠点とする関東道路株式会社です。舗装工事や土木工事を営む一方、次世代のDX事業を通して数々の挑戦を続けています。
そんな取組みの一つが、2023年に導入した施工管理アプリの「Conne(コンネ)」の導入です。コンネとは現場と会社をつなぐコミュニケーションツールアプリ。それまで紙や口頭でやり取りしていた手間や時間を省き、社員同士の手軽な情報共有を可能にしました。
また、社内ではアプリの導入に伴って全社員に携帯電話とタブレット を配布。
「紙を出力する手間もなくなり、図面のPDFをアップするだけで済むので実際かなり楽になりました。今まで口頭で行っていたやり取りもデータベース上で行うため、ミスも減りましたね」と工事部の高山氏は導入のメリットを述べています。
導入を計画してから現場へ導入されるまでわずか2~3ヶ月。若手からベテランまで幅広い層がいる社内で、どの現場でもスムーズに導入できたのだそう。会社全体のスピード感と柔軟な現場の対応力、この両輪が大きなデジタル転換の一助になったのは間違いないはず。
アプリ導入の一方、実は社内で建設事業以外の分野において新たなDXにも挑戦していました。それは、ある環境問題に関する未知の新事業でした。
中でもいち早くDXに着手した企業が、筑西市 を拠点とする関東道路株式会社です。舗装工事や土木工事を営む一方、次世代のDX事業を通して数々の挑戦を続けています。
そんな取組みの一つが、2023年に導入した施工管理アプリの「Conne(コンネ)」の導入です。コンネとは現場と会社をつなぐコミュニケーションツールアプリ。それまで紙や口頭でやり取りしていた手間や時間を省き、社員同士の手軽な情報共有を可能にしました。
また、社内ではアプリの導入に伴って全社員に携帯電話とタブレット を配布。
「紙を出力する手間もなくなり、図面のPDFをアップするだけで済むので実際かなり楽になりました。今まで口頭で行っていたやり取りもデータベース上で行うため、ミスも減りましたね」と工事部の高山氏は導入のメリットを述べています。
導入を計画してから現場へ導入されるまでわずか2~3ヶ月。若手からベテランまで幅広い層がいる社内で、どの現場でもスムーズに導入できたのだそう。会社全体のスピード感と柔軟な現場の対応力、この両輪が大きなデジタル転換の一助になったのは間違いないはず。
アプリ導入の一方、実は社内で建設事業以外の分野において新たなDXにも挑戦していました。それは、ある環境問題に関する未知の新事業でした。
アプリ導入によって現場の生産効率も飛躍的に向上
深刻なソーラーパネル廃棄問題
新たなDX事業「SRP」で解決を
現在、深刻な環境問題として浮かび上がっているのがソーラーパネルの廃棄問題です。東日本大震災後、政府支援策に後押しされて飛躍的に増えたソーラーパネル。近い将来にはピーク時で140万トン超の廃棄処分が見込まれています。さらに、その予想を受けて国内各地で不法投棄が乱発する恐れも。この大きな問題にメスを入れようと立ち上がったのが関東道路でした。
新事業は「ソーラーパネルリサイクルプラットフォーム(SRP)」と命名し、ソーラーパネル排出業者の解体・廃棄依頼をクラウド上で一元管理するシステムを構築。提携企業同士が連携して廃棄希望のソーラーパネルを回収し、処理を進めます。同社は特許を取得した情報処理技術を生かし、SRP用の情報処理ソフトウェアも構築・運用しています。
それまでソーラーパネルを廃棄するには収集・運搬業者、解体・分別業者、再資源化業者、最終処理業者……と多くの企業が介在。排出業者はそれぞれと見積り書を取らなければいけない流れが一般的でした。
しかしSRPだと各業者がソフトウェアを通して廃棄パネルの情報を把握でき、効率的な回収・処理を実現。廃棄コストが下がるとともに再資源化の費用も押さえられ、八方良しの結果を生み出しています。
ローンチ後、SRPは『環境分野のDX(デジタルによる変革)』としてさまざまなメディアにも取り上げられ、今まさに事業拡大の道を歩み始めたのです。
新事業は「ソーラーパネルリサイクルプラットフォーム(SRP)」と命名し、ソーラーパネル排出業者の解体・廃棄依頼をクラウド上で一元管理するシステムを構築。提携企業同士が連携して廃棄希望のソーラーパネルを回収し、処理を進めます。同社は特許を取得した情報処理技術を生かし、SRP用の情報処理ソフトウェアも構築・運用しています。
それまでソーラーパネルを廃棄するには収集・運搬業者、解体・分別業者、再資源化業者、最終処理業者……と多くの企業が介在。排出業者はそれぞれと見積り書を取らなければいけない流れが一般的でした。
しかしSRPだと各業者がソフトウェアを通して廃棄パネルの情報を把握でき、効率的な回収・処理を実現。廃棄コストが下がるとともに再資源化の費用も押さえられ、八方良しの結果を生み出しています。
ローンチ後、SRPは『環境分野のDX(デジタルによる変革)』としてさまざまなメディアにも取り上げられ、今まさに事業拡大の道を歩み始めたのです。
SRP開発担当の高山氏(写真左)と武藤氏(写真右)。2名ともシステム開発は未経験から始まった
挑戦できる土壌を作るリスキリング
目指すは事業のDX化
SRPの開発に取り組んだのは代表取締役の武藤社長をはじめ、工事部の高山氏、営業部の武藤氏という合計3名という小さなチーム。
「システムを作ることは初めてでしたが、作りながら学ぶことが楽しいと感じました」と開発事業の初心者だった高山氏は話します。さらに武藤氏も「私も知らない事だらけでした。でも何も分からないからこそ、お客様の目線で使ってみて着実に改善を重ねることができました」と開発当時を振り返ります。両名ともそれまでの担当業務とは異なる事業にも関わらず、積極的に学びながら今もSRPの運用を行っています。
代表の武藤社長はこの積極性こそがリスキリングの肝だと強調します。「リスキリングには自ら学んでキャリアアップできる場が一番大切。例えば技術系で就職しても、次は営業、その次は開発に行くことも。社内の配置転換は各自がリスキリングをしているからこそ出来る賜物なのです。総合職文化の日本はリスキリングに向いていると思います」。
現在、関東道路はDX推進計画書を策定し、さらにGX(グリーントランスフォーメーション)分野に進出を目指したリスキリング推進の指針となる人材戦略も策定しました。
会社全体で月次の年間教育計画を定め、業務時間内でスキル習得に取り組めるよう社員のリスキリング環境を整備。また、研修プログラムや資格取得に必要な費用面のサポートを行います。人事面でもスキルの習得状況や達成した成果、業務効率の向上結果に応じた評価・処遇の仕組みを構築。DXを推し進めるため、DX人材の育成に注力する姿勢を見せています。
「アプリの導入も、SRPもDX事業の一つです。SRPのシステムは関連企業の業務効率化にも貢献しています。こうした取り組みがDXとして全て繋がり、最終的には再生可能エネルギーの普及や推進を目指していければ」と社の展望を語ってくれました。
新規事業には知識や先入観がない。故に貪欲さがあればどんどん学んでアップデートする。武藤社長が描く方程式が事業拡大によるリスキリングとなり、次世代の企業の姿を映し出していくことでしょう。
「システムを作ることは初めてでしたが、作りながら学ぶことが楽しいと感じました」と開発事業の初心者だった高山氏は話します。さらに武藤氏も「私も知らない事だらけでした。でも何も分からないからこそ、お客様の目線で使ってみて着実に改善を重ねることができました」と開発当時を振り返ります。両名ともそれまでの担当業務とは異なる事業にも関わらず、積極的に学びながら今もSRPの運用を行っています。
代表の武藤社長はこの積極性こそがリスキリングの肝だと強調します。「リスキリングには自ら学んでキャリアアップできる場が一番大切。例えば技術系で就職しても、次は営業、その次は開発に行くことも。社内の配置転換は各自がリスキリングをしているからこそ出来る賜物なのです。総合職文化の日本はリスキリングに向いていると思います」。
現在、関東道路はDX推進計画書を策定し、さらにGX(グリーントランスフォーメーション)分野に進出を目指したリスキリング推進の指針となる人材戦略も策定しました。
会社全体で月次の年間教育計画を定め、業務時間内でスキル習得に取り組めるよう社員のリスキリング環境を整備。また、研修プログラムや資格取得に必要な費用面のサポートを行います。人事面でもスキルの習得状況や達成した成果、業務効率の向上結果に応じた評価・処遇の仕組みを構築。DXを推し進めるため、DX人材の育成に注力する姿勢を見せています。
「アプリの導入も、SRPもDX事業の一つです。SRPのシステムは関連企業の業務効率化にも貢献しています。こうした取り組みがDXとして全て繋がり、最終的には再生可能エネルギーの普及や推進を目指していければ」と社の展望を語ってくれました。
新規事業には知識や先入観がない。故に貪欲さがあればどんどん学んでアップデートする。武藤社長が描く方程式が事業拡大によるリスキリングとなり、次世代の企業の姿を映し出していくことでしょう。
薬剤師の経歴を持つ武藤社長。業界に入って最初に興味を持ったのがリサイクル分野だったのだそう
関東道路株式会社
住所 | 茨城県筑西市下川島635 |
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事業内容 | 建設業(舗装工事・土木工事)、リサイクル事業、太陽光パネルリサイクル事業 |
HP | https://www.kanto-doro.co.jp |