データサイエンスを活用した
新たな生産体制の構築
大塚セラミックス株式会社 (茨城県下妻市)
今話題のデータサイエンス。一見、馴染みのない言葉かもしれませんが、実は企業課題の解決に大きく貢献する重要なデジタルスキルでもあります。今回、データサイエンティスト育成の研修講座に参加した大塚セラミックス株式会社の体験談からその実態を紐解きます。
デジタル人材育成の一歩
工場長自らが挑戦
現在、リスリキングを推進する国内企業の間でビッグデータの分析や解析ができる人材「データサイエンティスト」に注目が集まっています。データサイエンティストとはビッグデータを解析し、課題を抽出して改善策を提案するプロフェッショナルのこと。さまざまな意思決定の局面において、データにもとづいて合理的な判断を行えるように意思決定者(経営者)をサポートし、DX(デジタル・トランスフォーメーション)においても重要な役割を担うことが期待される人材です。
茨城県内の企業においてもデータサイエンティストの育成が進んでおり、下妻市に立地する大塚セラミックス株式会社もそうした企業の一つ。同社は、茨城県が令和4年度に開催したいばらき高度IT人材アカデミー『データサイエンティスト育成講座』を受講することで、データサイエンティストの育成に着手しました。
大塚セラミックスはセラミックス製品の一貫生産を行う昭和34年創業の老舗メーカー。同社は平成27年にISO 9001:2015を取得して以来、QCD(品質・コスト・納期)などの生産工程に関するデータを蓄積していました。「そもそも、データの集積の目的は原価計算でしたが、他にも活用できないかと考えていました」と語るのは工場長の新井英夫氏。「データサイエンスの知見は当社の事業に役立てられるのでは」との期待を込め、令和4年度夏の研修を自ら受講することを決意しました。
茨城県内の企業においてもデータサイエンティストの育成が進んでおり、下妻市に立地する大塚セラミックス株式会社もそうした企業の一つ。同社は、茨城県が令和4年度に開催したいばらき高度IT人材アカデミー『データサイエンティスト育成講座』を受講することで、データサイエンティストの育成に着手しました。
大塚セラミックスはセラミックス製品の一貫生産を行う昭和34年創業の老舗メーカー。同社は平成27年にISO 9001:2015を取得して以来、QCD(品質・コスト・納期)などの生産工程に関するデータを蓄積していました。「そもそも、データの集積の目的は原価計算でしたが、他にも活用できないかと考えていました」と語るのは工場長の新井英夫氏。「データサイエンスの知見は当社の事業に役立てられるのでは」との期待を込め、令和4年度夏の研修を自ら受講することを決意しました。
同社の製品は自動車や半導体、産業機器など多分野で採用されている
未経験のデータ言語分野へ
専門家とのリアルな学び
データサイエンティスト育成講座は、「スキル修得プログラム」、「ビジネス活用支援プログラム」の2つのプログラムで構成されます。前者は統計学の基礎や、データ活用に必要なプログラミング言語、Excelを活用したデータ分析を学ぶ座学を中心とした講座で、後者はメンターによる3ヶ月間の伴走支援で課題解決に臨む実践型の講座です。
「受講する講座内容の全てが未経験でした」と語る新井氏。その中でも印象的な内容として、データベースを操作する言語「SQL」とプログラミング言語「Python(パイソン)」を挙げました。「社内のデータや各個人の持つデータを集中管理するマスターデータのシステムを作りたいです。これらのシステムの構築の軸にSQLを用いようと考えています。また、当社がこれから取り入れようとしている機械学習にはPythonが有効だと思いました」と語ります。
「ビジネス活用支援プログラム」は2週間に一度のオンライン形式で実施されます。新井氏とメンターがゴールを共有し、新井氏の提案に対してメンターがアドバイスをフィードバックする形で伴走しました。社内プレゼンにおける資料の見せ方や集積したデータの加工方法などの助言も受けつつ、第三者の専門的な視点を取り入れることで、想定以上のアウトプットを得ることができました。
「受講する講座内容の全てが未経験でした」と語る新井氏。その中でも印象的な内容として、データベースを操作する言語「SQL」とプログラミング言語「Python(パイソン)」を挙げました。「社内のデータや各個人の持つデータを集中管理するマスターデータのシステムを作りたいです。これらのシステムの構築の軸にSQLを用いようと考えています。また、当社がこれから取り入れようとしている機械学習にはPythonが有効だと思いました」と語ります。
「ビジネス活用支援プログラム」は2週間に一度のオンライン形式で実施されます。新井氏とメンターがゴールを共有し、新井氏の提案に対してメンターがアドバイスをフィードバックする形で伴走しました。社内プレゼンにおける資料の見せ方や集積したデータの加工方法などの助言も受けつつ、第三者の専門的な視点を取り入れることで、想定以上のアウトプットを得ることができました。
「メンターの方との相性が良かった」と明かす新井英夫工場長
データの再分析を通して
新たな生産体制の構築へ
新井氏はある日、どうしても不良品が発生してしまう自社の生産ラインについて、データを用いて何等かの解決手法を検討できないかと、メンターに相談。すると、不良品の数だけに着目するのではなく、不良品の状態を詳しくデータ化するようアドバイスがありました。収集した詳細データの抽出・解析を進めると不良品を発生させている原因が複数浮上。それらを1つひとつ解消することで、不良品の大幅な抑制に繋がりました。
理論と実践の約7カ月間のプログラムを修了して「目の前にあるデータとの向き合い方が以前と大きく変わりました。それまで漫然と見ていたデータが、収集・活用の方法を考えながら扱うことができるようになったんです」と新たな心境を述べる新井氏。
研修を修了した現在でもPythonの学習を続けるとともに、AI分野の学習にも着手したそうです。「人材などの限られた経営資源の中で、研修における学びを元に業務の効率化を図っています。その先で新たな業務・仕事にもチャレンジしたいですね」と語ります。データの活用は、個人の勘や経験に依存した生産体制から脱却し、より効率的な生産体制の基礎となり、人材難やコスト高といった多くの企業が抱える課題への対応のヒントとなるかもしれません。
理論と実践の約7カ月間のプログラムを修了して「目の前にあるデータとの向き合い方が以前と大きく変わりました。それまで漫然と見ていたデータが、収集・活用の方法を考えながら扱うことができるようになったんです」と新たな心境を述べる新井氏。
研修を修了した現在でもPythonの学習を続けるとともに、AI分野の学習にも着手したそうです。「人材などの限られた経営資源の中で、研修における学びを元に業務の効率化を図っています。その先で新たな業務・仕事にもチャレンジしたいですね」と語ります。データの活用は、個人の勘や経験に依存した生産体制から脱却し、より効率的な生産体制の基礎となり、人材難やコスト高といった多くの企業が抱える課題への対応のヒントとなるかもしれません。
小集団活動や資格取得推奨など個人の技術向上にも積極的に取組む
大塚セラミックス株式会社
住所 | 茨城県下妻市半谷482-1 |
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事業内容 | ファインセラミックス部品の製造及び開発 |
HP | https://www.ohtsuka-ceramics.co.jp/ |